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今月の特集1 血栓止血領域における抗体医薬
後天性血友病A・その他の自己免疫性後天性凝固因子欠乏症
著者: 藤井輝久1
所属機関: 1広島大学病院輸血部
ページ範囲:P.152 - P.158
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●血液凝固因子に対して自己抗体が出現し,当該凝固因子を失活させることにより,突然の出血を起こす病態がある.そのほとんどが凝固第Ⅷ因子(FⅧ)に対するものであり,後天性血友病Aと呼ばれる.
●後天性血友病Aには出血事象に対する治療(止血治療)と自己抗体(インヒビター)の消失を目的とした治療(免疫治療)を併用する.止血治療においてはバイパス止血製剤を使用するが,出血予防を目的に定期投与も認められている.
●エミシズマブは,活性化凝固第Ⅸ因子(FⅨ)と第Ⅹ因子(FⅩ)に特異的に結合するバイスペシフィックかつFⅧ代替抗体で,バイパス止血製剤の定期投与と同様,後天性血友病Aの出血予防に使用できる.リツキシマブは海外では免疫治療の1つのオプションとして使用されているが,わが国では保険承認されていない.
●血液凝固因子に対して自己抗体が出現し,当該凝固因子を失活させることにより,突然の出血を起こす病態がある.そのほとんどが凝固第Ⅷ因子(FⅧ)に対するものであり,後天性血友病Aと呼ばれる.
●後天性血友病Aには出血事象に対する治療(止血治療)と自己抗体(インヒビター)の消失を目的とした治療(免疫治療)を併用する.止血治療においてはバイパス止血製剤を使用するが,出血予防を目的に定期投与も認められている.
●エミシズマブは,活性化凝固第Ⅸ因子(FⅨ)と第Ⅹ因子(FⅩ)に特異的に結合するバイスペシフィックかつFⅧ代替抗体で,バイパス止血製剤の定期投与と同様,後天性血友病Aの出血予防に使用できる.リツキシマブは海外では免疫治療の1つのオプションとして使用されているが,わが国では保険承認されていない.
参考文献
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