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増大号 AKI・CKDの診断・治療に臨床検査を活かせ 3章 腎疾患と臨床検査
腎にフォーカスした電解質の見方(Na+,K+,Cl−)
著者: 麻生芽亜12 冨永直人12
所属機関: 1川崎市立多摩病院腎臓・高血圧内科 2聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科
ページ範囲:P.428 - P.431
文献購入ページに移動尿電解質測定は非常に簡便かつ非侵襲的な検査であり,腎・内分泌疾患,水・電解質異常の病態評価や原因検索に有用かつ必須の検査である.生体における水・電解質の濃度,摂取量,有効循環血漿量の変化などを,さまざまな部位で感知して,最終的に腎臓で排泄量が決定される1).それ故に,尿電解質濃度は常に変動し,広範な値をとる.また,利尿薬などの薬剤の影響も受けるため,いわゆる基準値が存在せず,単純な濃度比較では病態を評価することは難しく,初学者の理解の妨げとなっている.水・電解質異常の正確な病態把握には,24時間の全尿蓄尿が適切に行われた場合,正確な排泄量を知ることができるが,検査が煩雑であることや多剤耐性緑膿菌(multiple-drug-resistant pseudomonas aeruginosa:MDRP)による院内感染の問題を踏まえ,蓄尿検査は極力行わないことが推奨されている2).
本稿では,特に臨床検査技師を対象として,より簡便な随時尿検査での評価を中心に,尿Na+,Cl−,K+濃度([Na+],[Cl−],[K+]),および尿Na+,Cl−,K+(排泄)量の解釈に関して概説するが,水電解質(濃度)異常や細胞外液量異常をみた場合,最も重要なことは,尿電解質濃度および尿電解質(排泄)量の結果から病態へアプローチすることである.
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