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文献詳細

雑誌文献

臨床検査68巻4号

2024年04月発行

文献概要

増大号 AKI・CKDの診断・治療に臨床検査を活かせ 3章 腎疾患と臨床検査

腎にフォーカスした血液ガスの見方

著者: 猪阪善隆1

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科腎臓内科学

ページ範囲:P.432 - P.435

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動脈血と静脈血

 血液ガスを測定する場合,通常は動脈血ガスを用いる.特に呼吸機能を把握する場合は,動脈血ガスによる二酸化炭素分圧(carbon dioxide partial pressure:PCO2),酸素分圧(oxygen partial pressure:PO2)検査が必須である.

 一方,アニオンギャップ(anion gap:AG)の計算や[HCO3]の測定は静脈血ガスでも問題ない.表1に示すように,静脈血[HCO3](下記*参照)のほうが動脈血に比べてやや高いが,HCO3増加分だけClが赤血球内に移動するため(クロライドシフト),AGは変化しない.慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者に対して定期的に[HCO3]検査を行う場合などは静脈血ガスで十分である.

参考文献

1)日本腎臓学会(編):エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023,東京医学社,2023
2)Rose BD, et al:Clinical Physiology of Acid-Base and Electrolyte Disorders, 5th ed, McGraw Hill, New York, 2001
3)Emmett M:Approach to the Patient With a Negative Anion Gap. Am J Kidney Dis 67:143-150,2016
●Kajimoto S, et al:Modulation of the Association of Hypobicarbonatemia and Incident Kidney Failure With Replacement Therapy by Venous pH: A Cohort Study. Am J Kidney Dis 77:35-43,2021

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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