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増大号 AKI・CKDの診断・治療に臨床検査を活かせ 4章 腎疾患を知る—臨床検査ができること 臨床検査で迫る腎疾患
糖尿病性腎症・腎臓病と腎硬化症
著者: 田蒔昌憲1 脇野修1
所属機関: 1徳島大学病院腎臓内科
ページ範囲:P.524 - P.527
文献購入ページに移動糖尿病は慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)や末期腎不全の重要な原因であり,糖尿病の腎合併症である糖尿病性腎症(diabetic nephropathy:DN)はわが国の新規透析導入原疾患のうち最多である1).DNは,もともと糖尿病性糸球体硬化症という組織学的特徴を有する腎疾患に対する病名であった2).しかし2型糖尿病患者数は多いため,腎症を疑う全ての症例に腎生検を施行することは現実的に困難である.したがって,典型的な臨床経過と症候〔糖尿病歴,微量アルブミン尿〜顕性アルブミン尿を経て糸球体濾過量(glomerular filtration rate:GFR)低下,高度血尿なし,糖尿病網膜症・糖尿病神経障害の合併など〕を伴い,臨床的にほかの腎疾患が強く疑われない場合にDNと診断されるようになった2).
上記の通り,典型的なDNの臨床経過としては尿タンパクの悪化が先行し,次第に腎機能障害が進行し,最終的に末期腎不全へ至る.したがって,わが国におけるDN病期分類に関しては,旧厚生省糖尿病調査研究班で作成され糖尿病性腎症合同委員会で改訂された分類が広く用いられていた3).しかし,CKDの概念が提唱されCKDステージ分類が登場すると,従来のDN病期分類では主にアルブミン尿で分類され,CKDステージ分類では推算糸球体濾過量(estimated GFR:eGFR)で分類することから,両者に乖離を生じる症例が存在することが明らかとなった.そこで,2014年にDN病期分類が改訂され3),その後2023年に改訂されて今日に至る(表1)4).特に,尿アルブミン測定が重要であるが,本検査の保険適用として,糖尿病または糖尿病性早期腎症患者であって微量アルブミン尿を疑うもの(DN第1期または第2期のものに限る)に対して行った場合,3カ月に1回に限り算定できることに注意が必要である.
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