文献詳細
文献概要
今月の特集 骨髄腫と類縁疾患の検査学
生化学・免疫血清学検査
著者: 酒井昭子1
所属機関: 1慶應義塾大学病院臨床検査科
ページ範囲:P.848 - P.855
文献購入ページに移動Point
●免疫グロブリンの異常な増減が示唆される場合は,血清と尿タンパク分画および免疫グロブリン定量(必要に応じてIgD含む)を実施する.免疫グロブリン定量では質的異常の判断はできないため,タンパク分画の実施は必要である.
●非分泌型,Bence Jonesタンパク(BJP)型やIgD型骨髄腫は分泌されるMタンパクが微量であり,血清タンパク分画でMタンパクが検出されることはまれである.検出感度の高い免疫固定法(IFE)もしくは遊離L鎖(FLC)定量が有用である.
●IFEは抗原抗体反応を原理としているため,抗原過剰による地帯現象で染色帯の中抜け像やIgM型Mタンパク症例では非特異的な染色帯を認めるため,注意を要する.
●IMWGの治療効果判定基準にはMタンパク量の減少,IFEでのMタンパク陰性化が含まれる.Mタンパクの定量やIFEの問題点を理解して結果を報告する必要がある.
●免疫グロブリンの異常な増減が示唆される場合は,血清と尿タンパク分画および免疫グロブリン定量(必要に応じてIgD含む)を実施する.免疫グロブリン定量では質的異常の判断はできないため,タンパク分画の実施は必要である.
●非分泌型,Bence Jonesタンパク(BJP)型やIgD型骨髄腫は分泌されるMタンパクが微量であり,血清タンパク分画でMタンパクが検出されることはまれである.検出感度の高い免疫固定法(IFE)もしくは遊離L鎖(FLC)定量が有用である.
●IFEは抗原抗体反応を原理としているため,抗原過剰による地帯現象で染色帯の中抜け像やIgM型Mタンパク症例では非特異的な染色帯を認めるため,注意を要する.
●IMWGの治療効果判定基準にはMタンパク量の減少,IFEでのMタンパク陰性化が含まれる.Mタンパクの定量やIFEの問題点を理解して結果を報告する必要がある.
参考文献
1)Rajkumar SV, Dimopoulos MA, Palumbo A, et al:International Myeloma Working Group updated criteria for the diagnosis of multiple myeloma. Lancet Oncol 15:e538-e548,2014
2)Durie BG, Harousseau JL, Miguel JS, et al:International uniform response criteria for multiple myeloma. Leukemia 20:1467-1473,2006
3)江橋正浩,老沼弘俊,日高裕介,他:キャピラリー電気泳動システムにおけるM蛋白算定法.臨病理 64:887-890,2016
4)若松弘之,簗瀬直穂美,日高裕介,他:免疫固定電気泳動法システムでのIgA型M蛋白の軽鎖同定における問題点.臨病理 67:675-678,2019
5)厚生労働省:デノスマブ(遺伝子組換え)による重篤な低カルシウム血症について.医薬品・医療機器等安全性情報 No.295,pp3-9,2012(https://www.mhlw.go.jp/www1/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/295-1.pdf)(最終アクセス;2023年3月1日)
掲載誌情報