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文献詳細

雑誌文献

臨床検査7巻11号

1963年11月発行

文献概要

技術解説

異常血色素の知識と検査法

著者: 井内岩夫1

所属機関: 1山口医大臨床病理学教室

ページ範囲:P.807 - P.815

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1.異常血色素とは
 血色素(ヘモグロビン,Hb)は赤血球内に含まれる主成分で,グロビンというタンパク体にヘム(プロトポルフィリン鉄)が結合した複合タンパク体である。異常血色素とはヘム(heme)は正常なプロトポルフィリン鉄(protoporphyrin-iron)であるが,グロビン(globin)が異常であるために正常なHbと異なった物理的あるいは化学的性状を示すようになった血色素をいう。また異常血色素症とは,異常血色素が産生される結果,正常な血色素の産生が部分的に,また全面的に抑制される遺伝的疾患をいう。従って一酸化炭素中毒の際にみられるCOHb,便秘症にみられるSulfHb,薬物中毒,遺伝性メトHb症にみられるmet Hbなどはその異常がヘムの部分だけに限られていて,異常がグロビンの部分に及んでいないので異常血色素とはいわない。
 異常血色素の物理的・化学的性状の変化としては,いずれの異常Hbにも共通してみられる電気泳動やクロマトグラフィーに示される正常血色素との差異の他に,各異常血色素の独自の性状もみられ,それが深刻な影響を生体に及ぼしていることもすくなくない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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