文献詳細
文献概要
技術解説
胃細胞診の実際
著者: 信田重光1 滝田照二1 八木義弘1
所属機関: 1順天堂大学医学部福田外科
ページ範囲:P.261 - P.268
文献購入ページに移動近年,癌の死亡率の上昇とともに,癌の早期診断,早期治療の必要性が叫ばれるようになり,診断法も種々検討されて来ている。わが国で最も多い胃癌の診断については現在のところ,胃X線検査を中心に,胃鏡,胃カメラ法を行ない,臨床検査室の検査としては,糞便潜血反応,胃液検査などが行なわれていたが,近年細胞診による診断法が胃癌の早期診断の重要な一環を占めるようになり,日常検査として行なわれるようになつて来た。そして,胃X線検査を中心に,胃内視鏡法および細胞診を併用することにより,全体としてほぼ99%に近い胃癌を診断し得ることは,われわれがしばしば報告して来たところである
。さて胃癌の細胞診については,19世紀後半より二,三の学者によってその可能性が示唆されていたが,本格的には,1946年Papanicolaou1)の報告以後,急速に進歩して来たものである。そして細胞採取法にも種々の考案がなされ,表1(次ページ)のごとく,多くの研究者によりその成績が発表されている。
掲載誌情報