文献詳細
技術解説
文献概要
Ⅰ.検査の限界
臨床検査という用語の示すものはその範囲がきわめて広く,極端な言い方をすれば脈をみるのも聴診器で聞くのも臨床検査である。しかし今日常用される用語の概念の範囲は狭められて来ているが,それでもなおその限界を明確にすることは困難である。それは検査の範囲と深さの両面から考えねばならない事柄であるからである。範囲に関しては,それぞれの立場から一定の枠を定め"これとこれはルティーンの検査"として,いわば勝手に定めている。深さに関しては,どこまでが検査で,どこからが研究か,という疑問も多くの場所で多くの人が考えた問題でありながらなお明確な解決はされていない。これらのところにまず問題点が残されているが,それを承知の上で,そこに実験動物の問題を重ねて行くことは更に解決し難い疑問を提供することになる。
しからば日常の検査に実験動物が全く使用されていないかといえば,とんでもないことで,非常な数の実験動物が使用されている。たとえば1960年におけるわが国の実験動物現状調査によれば医学用に用いられたマウスは2,459,683匹,ラットは353,050匹,ウサギは164,714匹に達している。
臨床検査という用語の示すものはその範囲がきわめて広く,極端な言い方をすれば脈をみるのも聴診器で聞くのも臨床検査である。しかし今日常用される用語の概念の範囲は狭められて来ているが,それでもなおその限界を明確にすることは困難である。それは検査の範囲と深さの両面から考えねばならない事柄であるからである。範囲に関しては,それぞれの立場から一定の枠を定め"これとこれはルティーンの検査"として,いわば勝手に定めている。深さに関しては,どこまでが検査で,どこからが研究か,という疑問も多くの場所で多くの人が考えた問題でありながらなお明確な解決はされていない。これらのところにまず問題点が残されているが,それを承知の上で,そこに実験動物の問題を重ねて行くことは更に解決し難い疑問を提供することになる。
しからば日常の検査に実験動物が全く使用されていないかといえば,とんでもないことで,非常な数の実験動物が使用されている。たとえば1960年におけるわが国の実験動物現状調査によれば医学用に用いられたマウスは2,459,683匹,ラットは353,050匹,ウサギは164,714匹に達している。
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