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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査7巻7号

1963年07月発行

雑誌目次

グラフ

写真処理の技術

ページ範囲:P.475 - P.482

技術解説

輸送培地の実際

著者: 辺野喜正夫

ページ範囲:P.483 - P.487

はじめに
 病的材料から菌の分離培養を行なうに当って,手もとでこれを実施できない場合には材料を他の検査室または研究所へ送ったり,あるいはいろいろの事情で,しばらく材料を保存しなければならないことがある。
 このような場合に輸送培地(保存液)が利用されることになる。

保存血液の取り扱い方

著者: 遠藤武

ページ範囲:P.489 - P.494

I.保存血液の有用性
 周知のごとく,近時外科的療法の発達は,かって不可能視された肺切除術,心臓切開術等を成功裏に行なうことを可能ならしめ,さらに進歩が予想される現状である。この進歩をささえる基盤となったものは,大づかみにいって,麻酔術の進歩化学療法の発達および保存血液の使用を根幹とする輸血輸液法の向上である。
 輸血の主たる目的は大量の出血による失血死を防ぐという消極的な療法にあったのであるが,近代医学ではそれが術前,術中および術後の輸血を行なうことによってさらに大量の出血を伴う処置をも可能にするという,むしろ積極的療法の意味をもつようになってきたものである。

検量曲線の作り方

著者: 茂手木皓喜

ページ範囲:P.497 - P.501

はじめに
 検量曲線の意義とかその作製法は定量分析上のごく基本となるものであり,どの臨床検査の本にもその作り方を手にとるように説明しているが,正しい利用方法がまだ充分身についていないように見られるものもあり,何か新しいことをやらせるとさっぱり検量曲線の書き方がわからなかったりするものもみうけられるようである。また標準液と検体中の濃度関係など充分のみこめていないことも往々みうけられる。したがって復習という意味で,ここに検量曲線作製法とその注意について簡単にのべてみたい。

脂肪の染色法

著者: 高橋登

ページ範囲:P.503 - P.506

はじめに
 脂肪は生体内に広く豊富に存在している物質で古くからその正常および病的状態における分布状態ならびに変動などが多角的に検討されてきている。基本となる脂肪の分類は,研究者によって必ずしも同一ではないが,一般に適用されているものは次のごときものである。
1.単純脂肪:中性脂肪,真性ワックス,コレステリンエステル

座談会

臨床検査と光—特に光源と照明の問題

著者: 東堯 ,   小原清成 ,   松村義寛 ,   天木一太 ,   松橋直 ,   高橋昭三 ,   樫田良精 ,   太田邦夫

ページ範囲:P.508 - P.522

 樫田 今日の座談会は,臨床検査と光というテーマでございます。この雑誌では大分前に,熱源とか水の問題を中心に座談会をやったことがありますが,よく光熱水道といいますけれども,その光熱水道の中の光が適当な機会がなくて抜けておりましたので,本日は東芝の東先生,小原先生のお二人のご専門の方をお招きしましてこのテーマでいろいろの角度からお話し合いをしたいと思います。この座談会の出るのは7月号ですから,学問的なことだけじゃなくて,少し夏らしくくつろげるような題材も取り入れたいと思います。
 最初にこんな問題があるということをそれぞれのご専門の先生方から,たとえば顕微鏡ではこうだとか,光電比色計ではどうだとかいうことから,口火を切っていただきたいと思います。

研究

結核菌の耐性測定における直立拡散法の検討—第2報 日常における希釈法と平面ならびに斜面培地による直立拡散法との比較

著者: 平峰繁

ページ範囲:P.527 - P.531

はじめに
 結核菌の耐性測定において直立拡散法は,従来の煩雑な希釈法に代わるものと注目されているが,小川政1)2)の平面培地を使用する方法に対して,飯尾3)は普通の斜面培地でも耐性度を区別することができると報告している。
 しかしそれら両者について比較検討した報告はいまだにみられないので,私は日常における希釈法を基本に考えた場合,これら直立拡散法がどの程度の割合で一致するものかを比較検討するに先立ち,接種菌量の多寡による耐性値の変化をしらべたところ,希釈法とはほぼ同じ状態で変化する結果をえたので(第1報)9),本報では日常行なわれている希釈法と,平面ならびに斜面培地を使用した直立拡散法によって,3法を比較してそれらについて検討を加えた。

カラメル法による尿糖定量検査方法の簡易化

著者: 戸村蕗子

ページ範囲:P.533 - P.536

はじめに
 わが国の尿糖定量検査方法は表1に示してあるように比較的大きな施設では,大部分Somogyiのカラメル法1)によるものと思われる。筆者は,これによる尿糖定量検査方法を簡易化して日常検査の能率を増進するため1回の検査に必要な炭酸ナトリウム液をあらかじめアンプルに入れておき,それを使って検査し,呈色液をアンプルごと直接肉眼比色,あるいは光電比色するように工夫した。それについて検討を加えたので,その結果を報告する。

Erythromycinは多剤耐性赤痢菌に感受性を有するか

著者: 和嶋毅 ,   水島淳 ,   元永悦子 ,   高橋祥子

ページ範囲:P.539 - P.541

 Erythromycin(EM)はグラム陽性菌およびNeisseria,HernophilusおよびEscherichia等のEnterobacteriaceaeに効果がないといわれている。1)2)
 山口医大臨床病理部で私たちは,赤痢患者より赤痢菌を検出し,ディスク法で薬剤感受性試験を行なっているうちに,たまたまStreptomycin(SM),Chloramphenicol(CM),およびTetracycline(TC)を含む多剤耐性赤痢菌株の中にEMにかなり感受性(廾)を示すものを観察した。これは従来発表されているEMの抗菌スペクトル2)と合致しなかったから,ある臨床家から検査に欠陥があると指摘された。しかし三剤耐性赤痢菌がEMに感受性を有すると判定せざるを得ない例に再々遭遇するので,ディスク法の信頼性を検討し赤痢菌のEM感受性の有無をはっきりさせようと思った。そこで栄研ディクス,昭和ディスクによりSM,CM,TC耐性でEM(++)以上の感受性を有すると判定された赤痢菌株を改めて希釈法(寒天法,ブイヨン法)で薬剤感受性を吟味し,ディスク法の成績と比べ,ディスク法によるEM感受性赤痢菌が果して希釈法によってもそう判定されるか否か調べて見た。

私の工夫

多数の寒天内沈降反応用平板を作る方法

著者: 東田一男

ページ範囲:P.545 - P.545

 平板寒天をもちいるオークテルロニー(Ouchterlony)法については,東大血清の松橋助教授が本誌5巻5号に詳しく技術解説されている。この術式は,比較的実施しやすい反応であって広く応用されている。
 しかしながら,平板に寒天のクボミを作る場合に,特別製のイガタ(鋳型)が必要であったり,イガタをこしらえるのに試験管を束ねて用いている。これでは多数の平板を作って実験するには少し不便である。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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