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線維素溶解現象の測定法—プラスミン系の測定法
著者: 岡本歌子1
所属機関: 1慶応大学医学部生理学教室
ページ範囲:P.966 - P.971
文献購入ページに移動はじめに
最近プラスミン系の測定は臨床各科にわたって重要な臨床検査項目になりつつある。しかし測定法は種々報告されているが,決定版ともいうべきものがなく,新しい検査項目に加えようとする時には,まず測定法の選択に困惑することが多い。この解説はそういう場合のために,従来発表されている方法を筆者らの経験にもとずいて,日本の臨床検査の現実の中で実施しやすい形にして解説風に書いたものである。
プラスミン活性充進の臨床例をはじめて記載したのはMacFarlane (1937)であった1)。彼は手術を受けた27例の患者中24例に急速な線維素溶解が起こることを報告した。また出血傾向を有する無線維素原血症の小児の症例報告(1938)をした2)。これらの発表は臨床的に出血とプラスミン活性亢進との関連に注目を惹かせる端緒となった。以後プラスミン活性と種々の疾患時の出血傾向との関係に関する論文は多数報告され,今日では血液プラスミン活性は,再生不良性貧血,白血病に伴う出血傾向,特発性腎出血,機能性子宮出血,分娩時の異常出血,網膜出血,蜘蛛膜出血などに際しては,測定すべき一つの検査項目となりつつある。
最近プラスミン系の測定は臨床各科にわたって重要な臨床検査項目になりつつある。しかし測定法は種々報告されているが,決定版ともいうべきものがなく,新しい検査項目に加えようとする時には,まず測定法の選択に困惑することが多い。この解説はそういう場合のために,従来発表されている方法を筆者らの経験にもとずいて,日本の臨床検査の現実の中で実施しやすい形にして解説風に書いたものである。
プラスミン活性充進の臨床例をはじめて記載したのはMacFarlane (1937)であった1)。彼は手術を受けた27例の患者中24例に急速な線維素溶解が起こることを報告した。また出血傾向を有する無線維素原血症の小児の症例報告(1938)をした2)。これらの発表は臨床的に出血とプラスミン活性亢進との関連に注目を惹かせる端緒となった。以後プラスミン活性と種々の疾患時の出血傾向との関係に関する論文は多数報告され,今日では血液プラスミン活性は,再生不良性貧血,白血病に伴う出血傾向,特発性腎出血,機能性子宮出血,分娩時の異常出血,網膜出血,蜘蛛膜出血などに際しては,測定すべき一つの検査項目となりつつある。
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