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文献詳細

雑誌文献

臨床検査9巻1号

1965年01月発行

文献概要

展望

酵素化学の臨床検査への応用

著者: 織田敏次1

所属機関: 1東京大学医学部病院吉利内科

ページ範囲:P.17 - P.20

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はじめに
 酵素活性の測定が臨床検査に応用されたのは,血清のアミラーゼが膵炎のばあいに上昇する事実にはじまっている。Wohlgemuthが1908年にみいだした知見であることはご承知のとおりである。しかも,この年にはGarrod(1908)のInborn errors of metabolismの初版が出版されている。この2つの業績が,今日の臨床酵素学の先鞭をつけたものであることはいうまでもない。もっともこの初版には,アルカプトン尿症をふくむ4つの先天性代謝異常が記載されているにすぎないが,今日では300種にもおよぶ疾患がこのカテゴリーに包含されようとし,そのうちの約20種ぐらいの病気については,遺伝的に欠損する酵素まであきらかにされている。代謝という面からながめれば,かなりの病気にそのような代謝異常が求められるにちがいない。
 それがまた生れながらの体質異常,したがって病気の成立病理につながってくることも当然考えられてよいはずである。たとえば糖尿病や痛風にしても,先天的な体質異常あるいは代謝異常が根本に横たわっていると考えたほうが,理解に便利である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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