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文献詳細

雑誌文献

臨床検査9巻12号

1965年12月発行

文献概要

特集 日常検査法の基礎知識と実技 細菌学

各種細菌の同定検査—腸内細菌と類似菌

著者: 中谷林太郎1

所属機関: 1国立予防衛生研究所細菌第1部

ページ範囲:P.1135 - P.1140

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I.腸内細菌
 腸内細菌科の菌群として分類されているものには赤痢菌,大腸菌,サルモネラ,アリゾナ,シトロバクテル,クレーブシエラ,エンテロバクテル,セラチア,プロテウス,プロビデンスがある。これらのうち原発的にヒトに赤痢,チフス,食中毒などの病気をおこし,そのゆえに臨床検査で重要な病原菌としては,赤痢菌,サルモネラ(チフス菌,パラチフスA菌およびB菌を含む),アリゾナ,および大腸菌のうちの一部の,いわゆる病原大腸菌がある。他の菌群の菌は尿路感染症,気道感染症などの原因となったり,諸臓器の病巣から分離されることも多いが,むしろ腸内常在菌叢として上記の病原菌の分離同定の際に鑑別を必要とする場合が多い。
 本文では腸内細菌の各菌群の定型的なものを培養検査により大まかに推定し固定するための手順を,一般臨床検査の実際に即するようのべる。したがって,上記各菌群中(赤痢菌・大腸菌),(サルモネラ・アリゾナ・シトロバクテル),(クレーブシエラ・エンテロバクテル・セラチア),(プロテウス・プロビデンス)の各カッコ内の菌群同志は互いに近似した性状をもつものであることを念頭においていただくと理解と応用に役立つと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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