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文献詳細

雑誌文献

臨床検査9巻2号

1965年02月発行

文献概要

技術解説

乳腺の細胞診

著者: 川島健吉1 高橋勇1

所属機関: 1東京医科歯科大学第一外科

ページ範囲:P.103 - P.109

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はじめに
 乳腺疾患中,乳癌の発生頻度は高く,本邦の統計による乳癌は,胃,子宮,直腸についで多いものであり,女子だけからみると,子宮癌,胃癌についで乳癌が多いといわれている。最近の傾向として,種々の雑誌,新聞,ラジオ,テレビなどによって医学的な啓蒙が行なわれ,特に婦人の乳癌に対する関心は極めて高くなってきたことは注目に値する。往時は,大学,大病院を受診する乳腺疾患の大部分は乳癌患者であり,しかも相当進行したものが多かったのであるが,近頃では乳腺にしこりがあるとか,乳頭分泌があるとか訴えて来院する患者の中には,正常乳腺,妊娠乳腺,あるいは月経周期による乳腺の痛みや乳腺の腫脹,緊満感によるしこりを乳癌ではないかとの恐怖の念をもった婦人が多くなり,したがって乳癌患者の数が減少したわけではないが,受診患者に対する乳癌患者の比率が低下している傾向がある。
 すべての疾患,特に癌に対しては早期発見,早期治療が叫ばれているが,上述のように一般の人達が乳癌に対して大きな関心を抱くのみでなく,早期に受診する傾向がみられることは,早期発見早期治療への重要な道すじとして大へん喜ばしいことである。しかし一方このように患者側の早期受診に対して,医療担当者側としては早期診断をもってこれに応える必要が生れてくるわけで,いよいよ責任が重大であり,診断にあたっての熟練と,慎重な諸検査によって適確な判定を下す必要がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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