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文献詳細

雑誌文献

臨床検査9巻4号

1965年04月発行

文献概要

技術解説

喀痰の細菌学的検査

著者: 徐慶一郎1

所属機関: 1関東逓信病院臨床検査科

ページ範囲:P.293 - P.298

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まえがき
 喀痰の細菌学的検査といえば,まず,どこの検査室でも第一にとりあげるのは,結核菌の検査であろう。次に各種の肺炎,気管支炎,肺化膿症(肺膿瘍,肺壊疸),気管支拡張症などの病原として一般細菌の検査が問題になる。結核菌の検査は検査方法が確立し,多少問題になる点はあるにしても,衛生検査指針に従つて行なえば,まず問題なく結果が得られると考えて良いであろう。しかし,肺結核以外の一般細菌検査では,検出菌の病原的役割を決定することが,困難な場合が多い。元来,肺,気管支感染症の病原を広く病原微生物全体から探すとすれば,一般細菌のうち,肺化膿症における嫌気性細菌はもとより,近年漸次増加の傾向にあるカンヂダやアスペルギルスなどの真菌,あるいは,ウイルス性肺炎をおこすインフルエンザ,パラインフルエンザ,アデノ,オーム病などの各ウイルスやマイコプラスマ(PPLO)などいずれも病原として重要視しなければならないであろう13)
 これらの疾患では,屡々,アジアインフルエンザウイルスとブドウ球菌のように,ウイルスと細菌,また,結核菌とカンヂダのように細菌と真菌さらに,時には,オーム病ウイルスとキャンヂダ8)のようにウイルスと真菌という風に,2種の異つた病原体の組合せによる混合感染が,同時に,また相次いで起こることが経験されている。これらの混合感染に際しては,元来治療の目的に用いられた化学療法が,逆に発症の誘因となつていることは見逃せない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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