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腎機能検査法(1)—PSP排泄試験
著者: 浦壁重治1 折田義正1 小山紀久子2 石橋恭子2
所属機関: 1大阪大学医学部第一内科 2大阪大学病院中央臨床検査部
ページ範囲:P.299 - P.306
文献購入ページに移動PSP排泄試験は腎疾患の診断上最も基本的な検査法であるから,まずこれより解説を始めたいと思う。ただし腎機能検査法は文字通り機能検査法であるから,測定技術について問題になるところは少なく,むしろ検査術式に注意すべき点が多い。このシリーズでは特にこの点に焦点をあわせ,生理学的ないし病態生理学的レベルまで問題を掘り下げ,常に何故そのようなことが問題となるか解説を試み,単なる技術解説に終わらないよう留意したい。
さてPSP(phenolsulfonphthalein別名Phenol Redは下に示すような構造脚註1)をもったpH指示薬の一種である。生体に投与されたPSPは体内で殆んど変化を受けず,もっぱら腎より排泄され,この性質が腎機能検査法に応用されている。具体的には投与量の何%が一定時間後に尿中に回収されるかをみる検査法であるが,図1のように排泄量の大小には2,3の因子が関与している。その第1は腎血流量である。成人では両腎に毎分1200ml前後の血液(血漿にして約600ml)が循環しているが,その増減は腎に供給されるPSP量を介して当然尿中PSP排泄量の増減となって現われる。一方腎に到達したPSPは一部糸球体より滬過されるが,残りの大部分は近位尿細管細胞によって排泄され,さらに残りは腎静脈をへて大循環系にもどる。
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