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研究と報告
周期性神経症,殊にその経過中に精神病期を有する症例について
著者: 小林淳鏡1
所属機関: 1京都大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.705 - P.712
文献購入ページに移動 著者は神経症者の長期観察例のカタムネーゼの綜合的調査により,いわゆる周期性神経症群の類型的特色を知り,かつその中に一時的に精神病状態を呈する例があることを確認した。そして結局本症においては,神経症と精神病とは本質的には同じ素因に基くもので,ただ病態の程度の差の表現であると考えられる。かつその成立機制は,かかる素因すなわち内因性周期性の緊張低下と,長期持続して身心を消耗する誘因による作用の二重構造を考えねばならない。このことはJanet,Ewald,Winklerらの異つた立場でありながら,極めて近似している,緊張低下の理論およびフランス学派にみられる人格構造の段階性に基く解釈により,もつともよく説明しうる。
本症は病因的には非定型ないし肇質性精神病(満田)に近縁であり,身体論的には間脳機能に関係づけられる。
かかる考察によると,治療に関しても,また精神衛生的方策に関しても,従来に増して大ぎい期待を持つことができると考えられる。
本症は病因的には非定型ないし肇質性精神病(満田)に近縁であり,身体論的には間脳機能に関係づけられる。
かかる考察によると,治療に関しても,また精神衛生的方策に関しても,従来に増して大ぎい期待を持つことができると考えられる。
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