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文献詳細

雑誌文献

精神医学1巻10号

1959年10月発行

文献概要

研究と報告

DMAE(2-Dimethylaminoethanol)の使用経験

著者: 広沢道孝1 井上令一 森ひとえ 山口昭平

所属機関: 1順天堂大学医学部精神神経科教室

ページ範囲:P.737 - P.742

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Ⅰ.まえがき
 2-dimethylaminoethanol(DMAE)がcholineの前駆物質であり中枢神経系に対し賦活的な薬理作用を示すことは既にPfeiffer, Jennyなど1)の各種実験報告にみられるところである。彼らははじめ副交感神経作動物質であるacethylcholineが中枢神経系に対し賦活的に働くことを考えていたが実験結果は期待した効果をえることができなかった。これはおそらくmethacholineやacethylcholineなどの等Ⅶアミンが脳血管関門(bloodbrain barrier)を通過し難いことによるためと推測し,第Ⅲアミンであるこのcholineの前駆物質(DMAE)を試用し,ようやく所期の効果をえることができた。そしてこの前駆物質は脳血管関門を越えてから細胞内にてacethylcholineに変えられ中枢神経系の刺激作用を表わすものと予想している。
 またcholineが本来生体内に存する物質であることから予測されるごとくDMAEの毒性は極めて低いことが検証されている。すなわちJennyなど2)によるとそのLD50はマウスに対する経口投与では3.1±0.16g/kg,ラッテでは2.6±0.1g/kgであり,Gourzisなど3),4),5)は犬を用いて1日量70mg/kgを6ヵ月間連日経口投与を続けたが血液像,尿所見は正常であり,心臓血管系機能とECGおよび組織学的検査のいずれにも異常所見を認めなかつたと報じている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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