文献詳細
文献概要
紹介
—K. Conrad 著—Die beginnende Schizophrenie
著者: 島崎敏樹 宮本忠雄
所属機関:
ページ範囲:P.749 - P.752
文献購入ページに移動こうした状況を見定めるところから,Conradの研究は始まる。すなわち,彼は精神病理をふたたび心理学的に取上げ,現象的事実そのものを心理学的に分析しようとする。彼はこのような分析的な努力の形式を形態分析(Gestaltanalyse)と名づける。なぜなら,体験されたものはすべて形態をもち,現象的事実の分析はつねに形態の分析だからである。著者によれば,形態分析の最終的な目標は,分裂病の症状や経過をバラバラに取出すことでなく,その構造関連を設定し,これによつて全事象を統一的な視野のもとに把握することである。こうした形態分析の手法で新鮮な分裂病シュープとくに妄想の体験構造を取扱つたのが本書である。
掲載誌情報