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研究と報告
folie à deuxの1例—病因論的考察を主として
著者: 木戸幸聖1 李熙洙2
所属機関: 1日本大学医学部神経科 2慶応義塾大学医学部神経科
ページ範囲:P.793 - P.799
文献購入ページに移動 精神障害,とりわけ妄想が,患者と親しい結びつきのある近親者にそのまま移入transferされ2人が同じ内容の妄想をもち,互いに支持しあい分ちあう場合,folie à deuxといわれる。この現象は1877年にLasègue,Falretによつてはじめて記載されたが,以来,Induziertes Irresein,contagion mentale,induced psychosis,associated psychosisなどの名でよばれ,成書には反応性精神病としてとりあつかわれている。そして,病因の特異な点や集団的な行動の異常性などから注目をひき,欧米の文献には比較的多数の報告例があり,ことに最近ではGralnickなどによつてfolie à deuxの概念の再検討もはかられている。しかしわが国では,ふるく昭和3年,杉原氏の「感応性精神病ノ知見補遣」と題する論文があるだけで,その後には,症例の報告や新しい概念の紹介もないようである。
われわれは,定型的な本症例を経験する機会をえたので,妄想発展の様相をあとづけ,加えて病因論的検討を試みたい。
われわれは,定型的な本症例を経験する機会をえたので,妄想発展の様相をあとづけ,加えて病因論的検討を試みたい。
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