文献詳細
研究と報告
文献概要
Ⅰ.序言
γアミノ酪酸が,いちじるしく脚光を浴びるようになつたのは1950年(Awapara,Roberts,Udenfriendらの生化学的研究)以後といわれる。現在,その臨床的応用は高血圧や昏睡の治療,さらに脳神経障害や精神薄弱症の治療に至るまで普及しつつある。なかんずく精神薄弱症に対する効用は,1946年のZimmermanその他の協同者によるl-グルタミン酸の研究以来特に注目をひくものである。本邦においては,精薄児に対する臨床的研究が着々と進められ,その効果も報告されているが,被験者はおもに学童期の年少者が選ばれている。従つて年長の精薄少年についての使用経験はまだ報告されていない。われわれの実験群は,生活年齢が年長であると同時に早くて10歳頃から非行歴があるという2つの特徴をもつ者である。非行が個人の病的欠陥や環境因子によることは容易に推測できるが,収容施設内での再三の事故発生者には特殊な非行性格がもともとあるようである。なお,γアミノ酪酸(以下γと略す)は第一製薬提供のものである。
γアミノ酪酸が,いちじるしく脚光を浴びるようになつたのは1950年(Awapara,Roberts,Udenfriendらの生化学的研究)以後といわれる。現在,その臨床的応用は高血圧や昏睡の治療,さらに脳神経障害や精神薄弱症の治療に至るまで普及しつつある。なかんずく精神薄弱症に対する効用は,1946年のZimmermanその他の協同者によるl-グルタミン酸の研究以来特に注目をひくものである。本邦においては,精薄児に対する臨床的研究が着々と進められ,その効果も報告されているが,被験者はおもに学童期の年少者が選ばれている。従つて年長の精薄少年についての使用経験はまだ報告されていない。われわれの実験群は,生活年齢が年長であると同時に早くて10歳頃から非行歴があるという2つの特徴をもつ者である。非行が個人の病的欠陥や環境因子によることは容易に推測できるが,収容施設内での再三の事故発生者には特殊な非行性格がもともとあるようである。なお,γアミノ酪酸(以下γと略す)は第一製薬提供のものである。
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