文献詳細
文献概要
研究と報告
特異な経過を示した冬型脳炎の1臨床例
著者: 新井尚賢1 山本英子1
所属機関: 1東邦大学医学部神経科学教室
ページ範囲:P.103 - P.109
文献購入ページに移動1.緒言
昭和21年以降わが国においてEconomo型脳炎あるいは冬型脳炎として報告された症例は2,3にすぎない。一方Economo型脳炎と日本脳炎との臨床上の鑑別は非常に困難であるとされているが,Economoが記載した脳炎は,冬および春に多く発病し,無熱,嗜眠,眼瞼下垂,複視などを主訴とし,またParkinsonismusおよび,性格変化をのこすことが多いとされている。
本例は1月に発病した点でEconomo型の条件をそなえているが,急性期およびその後の経過の上からみると,臨床症状はむしろ日本脳炎にちかく,また補体結合反応の結果も日本脳炎に疑がおかれ,現在なおいずれとも決定をみていないものである。本例のこの間の事情はすでに長野によつて発表されている1)。私たちはその後本例を観察する機会を得たが,その精神症状の経過は特異と思われる点が多いのでここに報告する。
昭和21年以降わが国においてEconomo型脳炎あるいは冬型脳炎として報告された症例は2,3にすぎない。一方Economo型脳炎と日本脳炎との臨床上の鑑別は非常に困難であるとされているが,Economoが記載した脳炎は,冬および春に多く発病し,無熱,嗜眠,眼瞼下垂,複視などを主訴とし,またParkinsonismusおよび,性格変化をのこすことが多いとされている。
本例は1月に発病した点でEconomo型の条件をそなえているが,急性期およびその後の経過の上からみると,臨床症状はむしろ日本脳炎にちかく,また補体結合反応の結果も日本脳炎に疑がおかれ,現在なおいずれとも決定をみていないものである。本例のこの間の事情はすでに長野によつて発表されている1)。私たちはその後本例を観察する機会を得たが,その精神症状の経過は特異と思われる点が多いのでここに報告する。
掲載誌情報