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—F. A. Gibbs & F. W. Stamps 著—てんかん必携
著者: 懸田克躬
所属機関:
ページ範囲:P.125 - P.125
文献購入ページに移動 著者の一人,イリノイ大学神経学教授兼脳波主任Frederick A. Gibbsの名から,すぐに思いうかぶのは,1935年彼とその同労者たちによつて発見提唱された,てんかん小発作における特徴的な“3c/s spike and wave”の異常波であろう。彼のてんかんについての一連の研究がジャスパーやペンフィールドなどのいわゆるモントリオール学派の業績とともに,てんかん研究に革命的な躍進をもたらしたことはてんかんに関心をいだくものの間では誰しらぬものはないというてよかろう。彼とその夫人を中心として発表された数少なからぬ論文は,てんかんあるいは脳波の研究者にとつては,そのひとつひとつが貴重な文献となつているといつてよい。特に,夫妻の共著たる“Atlas of Electroencepholography. Ⅰ,Ⅱ(1950,1952)”は,てんかん研究者の1つの道標のごとき存在とさえいうべきであろう。
てんかんはその罹患者も多く,古くからもしられた障害でありながら,それに関する正しく深い知見は脳波がH. ベルガーによつて発見されて以来の比較的に短かい期間に急速にしかも大量に推積されたという事情は,てんかんについては死すべき見解と今日の批判にたえうる見解とが,整理されないままに,投げだされている傾向を助長しているということさえできる。今日の見解を身につけることは一般医家にとつては重要な要請であるはずでありながら,困難なものとなつている。
てんかんはその罹患者も多く,古くからもしられた障害でありながら,それに関する正しく深い知見は脳波がH. ベルガーによつて発見されて以来の比較的に短かい期間に急速にしかも大量に推積されたという事情は,てんかんについては死すべき見解と今日の批判にたえうる見解とが,整理されないままに,投げだされている傾向を助長しているということさえできる。今日の見解を身につけることは一般医家にとつては重要な要請であるはずでありながら,困難なものとなつている。
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