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研究と報告
Alzheimer病およびPick病の臨床鑑別
著者: 原俊夫12 岡田万之助12 林和幸12 徳井達司12 原常勝12 山田治12
所属機関: 1井之頭病院 2慶応義塾大学医学部神経科
ページ範囲:P.225 - P.234
文献購入ページに移動主として初老期にはじまり,痴呆に陥る脳疾患には,臨床的にも病理組織学的にも異るいくつかの疾患が含まれている。ことに最近では,非定型なものや,従来の疾患概念にあてはまらない不明のものも報告されてきて,臨床的に確実な診断を下すことは容易ではない。しかしながら,いわゆる初老期痴呆症の代表的疾患であるAlzheimer病とPick病の定型的なものには診断の根拠となるような特徴的な症状群が存在するという説も従来多くの学者によつて主張されてきたことは周知のごとくである。
この論文では,われわが病理組織学的に確認し得た上記両疾患において,臨床症状の中,もつとも印象的,特徴的であつた症状をとりあげて,両者の鑑別が可能であるか否かを検討すると共に,この考え方にしたがつて診断を下し,現在なお観察中の症例も併記して,将来剖見し得た場合の結果を再び報告することを約束しようとするものである。したがつてここでは両疾患の病因論や,単位疾患であるか否かの議論には全く触れない。
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