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研究と報告
精神神経科領域におけるLevomepromazine(7044 R. P.)の治療効果について
著者: 野村章恒1 阿部亨1 近藤喬一1 松永昇1 加藤正勝2 河合博2 高橋侃一郎2 蒲池直裕2 進藤利雄2 太田浩2
所属機関: 1東京慈恵会医科大学神経科教室 2東京根岸国立病院
ページ範囲:P.255 - P.262
文献購入ページに移動2.抑うつ病群5例に対する治療効果は,全例とも著明な改善を見,抑うつ状態全般の軽快が認められた。これはC. P. には見られなかつた長所であり,われわれの経験では抑うつ状態にはReserpineを凌ぐという印象を得た。症例2および症例5は本療法開始前に電痙2回乃至3回を受けているが,しかし本療法開始時に抑うつ状態はなお存在していた。初老期うつ病に対する電痙は,特に高血圧を合併する場合望ましくなく,時に不快な愁訴が永続して医師を悩ます場合が時々あるが,L. P. はこれに代るかまたは少くとも電撃回数を減らすことができる。しかしわが例ではLambertの云うような高年令者のショック様症状は経験しなかつた。
3.神経症の中,神経質の基盤の上に心因的発展を示す純型以外に種々な型の境界領域に属する神経症がある。これに対し従来C・P.,RP. が使用されたが,われわれの経験では効果に比し副作用強く,良効果が得られなかつた。L. P. は不安の強いものに有効であつたが,これについては更に症例を追加して検討したい。
4.L・P. の副作用は大体C. P・に類似し,鼻閉口渇,倦怠感,傾眠作用があるが,起立性低血圧(立くらみ)の発作を起すものは割に少く,パーキンソン氏病様状態もC. P. よりやや軽度でPerphenazine(Trilafon)のごとく頸筋,背筋腰筋の強直,疼痛を来たしたものは1例に過ぎない。
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