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文献詳細

雑誌文献

精神医学1巻5号

1959年05月発行

文献概要

研究と報告

電気けいれんに起因する記銘力障害についての研究

著者: 田椽修治1 大熊文男1

所属機関: 1同愛記念病院神経科

ページ範囲:P.311 - P.317

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 電気けいれんにともなう記銘力障害について,精神分裂病,神経症および躁うつ病群の計135名の患者に,対語による記銘力テストほか3テストを施行して得た176の資料をもとに検討し,次の結果を得た。
 1)既往に電気けいれん療法を受けて寛解状態にある患者の成績と,電気けいれん療法を受けたことのない同程度の寛解状態の患者の成績とを比較し,記銘力以外のテストの成績と未寛解群などの成績を参考として,電気けいれん療法終了後1〜2ヵ月以上後になお,無関係対語テストの成績上に認められるところの記銘力障害が,電気けいれんに起因するものであることを明らかにした。
 2)記銘力障害は,無関係対語テストにおける各回正答率および3回平均正答率の低下として認められるだけでなく,学習能力の低下というかたちでも認められた。
 3)記銘力障害と電気けいれんの回数との間には有意の相関関係を認め,ことに,電気けいれんの回数が20〜30回を越すと障害が顕著になるのを認めた。
 4)個々の症例の検大討を避け,統計的方法を用・いたわれわれの研究では,記銘力障害の持続期間について明らかにすることができなかつたが,治療の1〜2ヵ月後になお認められる記銘力障害は,少なくとも治療後1〜2年の期間内では著明な回復傾向が認められなかつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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