icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学1巻5号

1959年05月発行

文献概要

研究と報告

耳介通電けいれん重積法施行にともなう脳波像の変化

著者: 小島真1 石田元男1 田中穂積1 町村俊郎1 逸見光昭1 清野昌一1

所属機関: 1国立東京第一病院

ページ範囲:P.319 - P.323

文献購入ページに移動
 耳介通電けいれん重積法は,前頭通電により週に2〜3回宛,数週間おこなう在来のけいれん治療とちがい,両耳孔に径7cmの円盤形電導子を圧着して,毎日1〜数回宛,数〜10数日間ほどこし,1日に2回以上通電するとぎには,けいれん発作終了の数〜10数分後に重ねておこなうものでこの方法によれば,1)通電量が不十分でけいれん発作がおこらなくても,1〜2分間意識が消失し,前頭通電にみられる電撃様不快感を患者に与えない。2)電導子接着面が大きいため皮膚に火傷をつくりがたい。3)両手操作で,頭部を左右からはさむため,電導子が患者にみえず,しつかり接着できる。4)治療前後についての健忘が前頭通電にくらべて,より完全である。5)したがつて患者が治療を拒むことがほとんどない。6)脊椎骨折をおこすことが前頭通電にくらべてぎわめて少い。7)前頭通電を多数回ほどこすとあとでけいれん発作があらわれやすいが1),この方法ではそういうことがない。8)治療期間をいちじるしく短縮できるなどの利点がある。
 この方法で治療すると,一時的に電気ぼけあるいはけいれんぼけと呼ぶ特殊な症状群があらわれて,分裂病やうつ病の症状はみとめられなくなり,寛解に赴かぬとこの症状群の消退につれてまたもとの症状があらわれてくる。この症状群については富永5)が記載し,ついで西谷3)も通電条件の明細にふれずにこの状態を報告している。われわれもこれまで,この方法によりひきおこされる状態を検討し発表してきた6)7)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?