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文献詳細

雑誌文献

精神医学1巻5号

1959年05月発行

研究と報告

精神分裂病患者の絵画についての一考察

著者: 徳田良仁1 栗原雅直1

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.352 - P.360

文献概要

I.まえがき
 精神分裂病患者の絵画がシュールレアリスム,表現主義,抽象主義的絵画に類似していることは古くから指摘されている。しかし注意しなければならないことは多くの場合欠陥固定状態の患者が描いたものについて検討されていて,ただ表面的な類似性のみが強調されている傾向が多い。精神病あるいはそれに類似した異常な状態のある時期には表現力,あるいは創作力のかなり増大する時期があるので,疾病過程によつて絵画の様式(Stil)がかなり変化する点をも考慮する必要がある。Schottky1)は精神病の経過によつて,構造や色彩が変化し,その疾病の消退とともにまたもとの様式にもどつた点を指摘している。Meyer2)は精神分裂病の罹患によつて絵画が今までの自然描写から象徴的絵画に変化した例があるとのべ,疾病過程が様式変化をもたらしたが,その影響は単に罹患中における一過性のものであつたといつているが,当然これらのことは想定しうることである。
 ここでわれわれは種々の観点からも興味ある一分裂病患者の症例をあげ,その患者の絵画が症状にどのように関連し,どのような意義をもつかについて考察したいと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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