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文献詳細

雑誌文献

精神医学1巻6号

1959年06月発行

文献概要

研究と報告

Iminodibenzyl誘導体Tofranilによる抑うつ状態の治療について

著者: 那須敏雄1 金森健1

所属機関: 1東京医科歯科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.417 - P.421

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Ⅰ.まえがき
 うつ病に対する薬物の効果については古くから種々報告されている。永年に亘つて,ブローム,阿片チンキ(1)が賞用されたが,現在では時にすぐれた効果をみる例があるのみである。ズルフォナールや他のバービツレートによる持続睡眠(2)もはなはだ有効な例がある。Amphetalnine療法(3)や,DOCAとVcの併用療法(4)ステロイドホルモン(5)が内因性うつ病とくに更年期型のものに推奨されたこともある。Hematoporphyrin(6)や他の光感受性増大物質,Dinitrile succinate(7)やニコチン酸(8)にも治療効果があるといわれた。その他物理的な方法(9)(10)に至るまでいろいろとあるが,今日もなお永く使用されているものは少い。
 1952年フランスでクロールプロマジン(11)が,同じ頃アメリカでレセルピン(12)が精神病に対する薬剤として卓効があると認められてから,急速にこれらの誘導体や新しい薬剤が作られ,臨床実験されるようになつた。しかしながらクロールプロマジンやレセルピンは興奮状態を抑える,いわゆるdepressantとしては有用であるがうつ病に対する作用は,特殊な病型たとえばはなはだしい不安をともなうものには効果があるが,一般的には効果が少いとされている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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