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紹介
サリバンの精神病理学
著者: 阪本健二1
所属機関: 1京大精神医学教室
ページ範囲:P.445 - P.455
文献購入ページに移動A.学説の成立とその特徴
対人関係の研究として精神病理学を定義したサリバンについては,すでに2,3我国でも紹介されているが,神経症や分裂病に対する彼の考え,すなわち彼の疾病理論はまだわが国ではよく知られていないようである。それで,以下主にこの問題について,彼の著書および私が米国滞在中にWilliam Alanson White Instituteで彼の弟子たちから学び得た所によつて簡単に述べて見たい。
サリバンは結局その厖大な精神病学の体系を完成せずに死んだので,2〜3の例外をのぞいては系統的な記述を残していない。その上,出版されている彼の講義は特定の分析医たちに対してなされたもので,その文章は特有の持つて廻つた,ためらうような表現に満ちており,かつ彼一流の皮肉でつらぬかれていて,この学説の理解をいよいよ困難にしている。
対人関係の研究として精神病理学を定義したサリバンについては,すでに2,3我国でも紹介されているが,神経症や分裂病に対する彼の考え,すなわち彼の疾病理論はまだわが国ではよく知られていないようである。それで,以下主にこの問題について,彼の著書および私が米国滞在中にWilliam Alanson White Instituteで彼の弟子たちから学び得た所によつて簡単に述べて見たい。
サリバンは結局その厖大な精神病学の体系を完成せずに死んだので,2〜3の例外をのぞいては系統的な記述を残していない。その上,出版されている彼の講義は特定の分析医たちに対してなされたもので,その文章は特有の持つて廻つた,ためらうような表現に満ちており,かつ彼一流の皮肉でつらぬかれていて,この学説の理解をいよいよ困難にしている。
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