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特集 神経質
神経症説としての森田説と分析説との関係
著者: 新福尚武1
所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.475 - P.488
文献購入ページに移動 最近わが国の神経症研究に1つの新しい動きがみられる。それは結局は森田説の力動心理学的,ないしは精神分析学的,あるいは実存分析学的発展を目ざしているのであるが,もしそれが堅実な歩みをつづけるならば,沈滞したわが国の神経症研究に1本の大きな撰を打ちこむことになるに違いない。
わが国の精神医学がはじめ主にドイツから,一部分フランスから移し植えられたなかにあつて,ただ神経症についてだけは,比較的早期から,わが国独自の神経症説ともいうべき森田説が生まれた。独自といつてももちろん先進諸国の影響から全く無関係に生まれたものではない。しかしその本質的なものはわが国固有の文化に培われた森田を通じて結晶した東洋的人間知であるとみることができる。この意味でもこの説はわれわれの土壌に実つたたぐいまれな成果としてもつと真剣に,虚心に研究するに値すると思う。
わが国の精神医学がはじめ主にドイツから,一部分フランスから移し植えられたなかにあつて,ただ神経症についてだけは,比較的早期から,わが国独自の神経症説ともいうべき森田説が生まれた。独自といつてももちろん先進諸国の影響から全く無関係に生まれたものではない。しかしその本質的なものはわが国固有の文化に培われた森田を通じて結晶した東洋的人間知であるとみることができる。この意味でもこの説はわれわれの土壌に実つたたぐいまれな成果としてもつと真剣に,虚心に研究するに値すると思う。
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