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文献詳細

雑誌文献

精神医学1巻7号

1959年07月発行

動き

ソビエトにおける神経症の考え方

著者: 今泉恭二郎1

所属機関: 1徳島大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.507 - P.515

文献概要

Ⅰ.ソビエトにおける神経症論の基礎としてのPavlovの基本的思想
 ソビエトにおける神経症論は,Pavlovの動物の実験神経症——大脳皮質の神経組織を少しも破壊することなく,人為的にひきおこされた皮質の病的状態——に関する研究結果,もつとひろくいえば,その高次神経活動学説に基礎をおいたものである。したがつて,ソビエトにおける神経症の考え方を理解するためには,Pavlovの医学思想一般と,その生理学における反射理論の3原理を一応念頭に入れておく必要がある。
 まずその医学思想の第1に,Pavlovは,生体を1つの統一されたもの——全一体としてみることを強調する。すなわち,ある器官や組織の変化の原因は,かならずしもその局所にあるとは考えず,またその変化は,いろいろな形で全生体に複雑な影響を与えているということを強調するのである。第2に,生体と環境との不可分の関係を強調し,その相互作用には,神経の高次部位,すなわち高等な動物では大脳皮質が,特に重要な役割をしていることを強調する。第3には,いわゆる神経主義(Nervism)の思想である。すなわち,他の系統に対する神経系の優位の思想である。もつとくだけていえば,全器官のはたらきの調和と調節は,神経系によつて行われているということを認めることである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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