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文献詳細

雑誌文献

精神医学1巻8号

1959年08月発行

文献概要

研究と報告

Iminodibenzyl誘導体G 22355(Tofranil)の臨床経験

著者: 町山幸輝1 黒岩晋太郎1 成瀬浩1

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.581 - P.585

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 1957年スイスのR. Kuhn1)によつてはじめてうつ状態,とくに内因性うつ状態に対する特異的な治療効果が報告されて以来,今日まですでにG22355(Tofranil),N-(γ-dimethylaminopropyl)-iminodibenzylium hydrochloricumによるうつ状態の治療に関していくつかの報告2),3),4),5)がなされているが,うつ状態,特に内因性のそれの治療におけるこの新しい薬剤の注目すべき治療効果,画期的な役割りの評価においては,すべての著者の見解は一致しているようにおもわれる。
 われわれは藤沢薬品工業株式会社よりの供与をうけて1958年5月より本薬剤を臨床的に使用する機会をえ,現在までにすでに約1年の期間をへたが,この間まず同年5月より9月までの4カ月間に,薬物療法,持続睡眠療法などの他の療法では効果のなかつた8例の典型的な内因性うつ病,妄想型および欠陥状態の4例の精神分裂病,2例の強迫神経症に本薬剤を予備的に使用し,そのうつ状態に対する特異的な効果,投与法および投与量などについての概観をえた。よつて同年10月より症例をまし,現在までに内因性うつ病を主とする100例以上の種々の精神疾患に本薬剤を使用した。この報告では,したがつて,主としてうつ病,とくに内因性のものを問題とすることになる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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