文献詳細
特集 児童精神医学
展望
文献概要
Ⅰ.まえがき
「児童精神医学」といつても,多くの人は精神薄弱児やてんかん児の問題を扱う領域を,便宜上一括して呼ぶのだぐらいにしか考えていないのではあるまいか。わが国でも近年,小児分裂病の問題が関心をひくようになつたので,せいぜい,児童精神医学にはこのような問題もあつたのかと認識された程度であろう。しかし,それだけならば,なにもわざわざ「児童精神医学」などと銘うつて専門分科らしく装う必要もないはずである。
児童の精神医学的問題には,成人とは異なるさまざまな問題がある。等しく神経症とか分裂病とかの名をもつて呼ばれても,児童期におけるそれらは,一般の精神科医が日常接する成人の疾病とは相当に様相を異にしている。さらに,児童期に独特な問題も少なくない。
「児童精神医学」といつても,多くの人は精神薄弱児やてんかん児の問題を扱う領域を,便宜上一括して呼ぶのだぐらいにしか考えていないのではあるまいか。わが国でも近年,小児分裂病の問題が関心をひくようになつたので,せいぜい,児童精神医学にはこのような問題もあつたのかと認識された程度であろう。しかし,それだけならば,なにもわざわざ「児童精神医学」などと銘うつて専門分科らしく装う必要もないはずである。
児童の精神医学的問題には,成人とは異なるさまざまな問題がある。等しく神経症とか分裂病とかの名をもつて呼ばれても,児童期におけるそれらは,一般の精神科医が日常接する成人の疾病とは相当に様相を異にしている。さらに,児童期に独特な問題も少なくない。
掲載誌情報