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特集 児童精神医学 研究と報告
分裂病が疑われる幼児の1例
著者: 上出弘之1 岩田由子2
所属機関: 1 2
ページ範囲:P.653 - P.657
文献購入ページに移動 幼児期に分裂病症状を示す症例については,すでに黒丸1)が詳しく紹介したように,呼び名こそ異るが,欧米では古くからその存在に注意が向けられてきている。最近わが国においても,このような症例の報告が散見され,その状態像について,あるいはその成因について,多くの論議がひきおこされている。
わたくしたちもかねてから,このような症例を集め,検討をつづけてきたが,今までに10例近くの症例を集めることができた。しかしこれらの例は,1例1例かなりその病像や成因を異にしていて,Kanner2)のいうような定型的な早期幼年自閉症early infantile autismと呼びうるものはむしろ少ないように思われる。ここにあげる1例もその症状は,早期幼年自閉症とは多少とも異なつているし,またはたして分裂病といえるかどうかも問題の例であるが,とにかくこのような例の存在することを報告し,あわせてこの例を通じて,わたくしたちの児童分裂病に対する考えかたを述べてみたいと思う。
わたくしたちもかねてから,このような症例を集め,検討をつづけてきたが,今までに10例近くの症例を集めることができた。しかしこれらの例は,1例1例かなりその病像や成因を異にしていて,Kanner2)のいうような定型的な早期幼年自閉症early infantile autismと呼びうるものはむしろ少ないように思われる。ここにあげる1例もその症状は,早期幼年自閉症とは多少とも異なつているし,またはたして分裂病といえるかどうかも問題の例であるが,とにかくこのような例の存在することを報告し,あわせてこの例を通じて,わたくしたちの児童分裂病に対する考えかたを述べてみたいと思う。
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