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研究と報告
Diphenylhydantoin Lymphadenopathyについて
著者: 細川清1 品川昌二1 藤原二郎1 野間拓二2 小笠原精三2
所属機関: 1岡山大学神経精神科教室 2土佐病院
ページ範囲:P.897 - P.903
文献購入ページに移動てんかんに対する抗けいれん剤の中で,diphenylhydantoinは,わが国でもつともよく使用される薬剤のひとつと考えられ1),すぐれた鎮痙作用を有するが,ときに各種の副作用をひき起こすこともよく知られている2)3)。一般には,薬剤投与後数日にして現われる皮膚の発疹,長期間投与を受けた陳旧性てんかん者の特有の小脳症状,あるいは歯肉増殖などが,やむをえない副作用のひとつとして容認され,臨床上その治療効果をマイナスにするほど,危険視されているものではない。diphenylhydantoin中毒症状は中毒反応と過敏反応とに大別される3)。
最近になつてわが国では,diphenylhydantoinが高熱を伴うリンパ腺腫張をひき起こし,臨床的にも,組織病理学的にも,Hodgkin氏病やリンパ肉腫などときわめて類似した,まとまつた臨床像を呈することがあることが報告されている4)5)。Merritt & Putnamが1938年にこの薬剤を紹介したが,以後そのすぐれた効果のために,一般に使用されている頻度から考えると,このようないわゆるiatrogenic anticonvulsant drug lymphadenopathyはきわめて稀なものか,あるいは一般の副作用のひとつとして臨床上容認され,報告されていないものとも考えられる。先にあげたわが国の報告者のなかで,谷向ら4)は,かれらが最初の報告者であると言い,欧米においても100例たらずの報告をみるのみであるという。われわれも最近期せずしてあいつぎ,diphenylhydantoin中毒症と思われるlymphadenopathyをきたした2例を経験したので,第1例を詳細に,第2例を簡単に報告する。
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