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研究と報告
倒錯視または逆転視(Verkehrtsehen)について—周期性傾眠,間脳症,感覚・運動誘導症状群を伴つた1例
著者: 大橋博司1 浜中淑彦1 河合逸雄1 池村義明1 西谷裕2 平盛勝彦2
所属機関: 1京都大学医学部精神科・神経科 2京都大学医学部第二内科
ページ範囲:P.937 - P.945
文献購入ページに移動自己の身体や外界の対象を入れる空間の体験は,時間体験とともに人間の世界体験を支える重要な2つの枠組みであり,空間体験のうちでは上下,左右,前後などの主観的空間軸の認知は空間体験の不可欠の礎石であつてきわめて安定した現象でなければならないが,この安定性が特定の脳損傷によつて失われるために生ずる種々の異常体験は今世紀の初頭より幾多の精神・神経病学者によつて記載されてきた。われわれがここに報告する倒錯視または逆転視(Verkehrtsehen)もその一つでありきわめてまれな現象とされるが,われわれの症例ではそれが周期性傾眠,間脳症,感覚・運動誘導群などと合併してさらに興味ある病像を形成した。以下この症例の報告を行なつたのち,逆転視,倒錯視について若干論じたい。
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