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文献詳細

雑誌文献

精神医学10巻12号

1968年12月発行

文献概要

研究と報告

向精神薬療法における肝障害について(その1)—山陰地区における実態調査の概要

著者: 大熊輝雄1 竹尾生気1 福間悦夫1 内田又功1 久場兼功1 吉岡千尋1 小椋力1

所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神科教室

ページ範囲:P.977 - P.984

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I.はじめに
 近年精神神経疾患の治療に,向精神薬を長期間使用する機会が多くなつたので,その副作用についても慎重な考慮をはらうことが必要になつてきた。
 向精神薬による副作用として臨床的に重要なものは,錐体外路性障害,肝障害,造血系障害,皮膚発疹の発生などである。そのうち,肝障害については,向精神薬が使用されはじめた初期から注目されているが,これに関する報告の多くは,比較的少量の使用で急性に黄疸などを生ずる急性肝障害に関するものである。しかし,臨床的には顕著な症状が現われない程度の初期に肝障害をとらえて対策を講ずることが,肝障害の慢性化を防ぐ最良の方法であり,向精神薬連続投与の場合にも,肝機能検査の施行によつて障害を早期に発見することが重要である。しかし,この種の検討はいまだ十分に行なわれておらず,わが国では挾間ら(1965),松本ら(1966)の報告があるにすぎない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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