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文献詳細

雑誌文献

精神医学10巻3号

1968年03月発行

研究と報告

分裂病症状を伴う遺伝性筋萎縮性側索硬化症の1例

著者: 宮尾三郎1 松沢富男1 小倉正己1

所属機関: 1信州大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.209 - P.212

文献概要

I.はじめに
 球麻痺症状に伴う強迫泣や強迫笑は古くから知られているが,一般に,筋萎縮性側索硬化症(以下ALSと略す)に伴う他の精神症状はまれである。病理解剖学的に,ALSは脳皮質から筋肉にいたる全運動経路の系統的変性疾患であり,運動性脳皮質におけるBetz巨大細胞の萎縮,消失および他の神経細胞の脱落とグリア細胞の増殖が特徴的である。しかし,ときには病変が運動領域にのみとどまらず,皮質では前頭葉あるいは皮質の広範囲な退行性変化,さらに皮質下神経核にも退行性変化が認められる場合もある。このことはALSに精神症状が伴うような症例もありうることを暗示している。
 最近,われわれは分裂病および躁病症状を伴う遺伝性ALSの1例を経験する機会を得たので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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