文献詳細
研究と報告
文献概要
Ⅰ.はしがき
躁うつ病の両状態像のうち,患者数の多いうつ状態への探求が必然的に発展し,抗うつ剤には進歩があつたが,躁状態に対する薬物効果の検索は,いまだ十分とはいえない現状である。こうした精神薬理学の10年の趨勢のなかで,町山16)が,抗うつ剤の躁転作用,躁周期での奏効を示して新たな見解を与え,注目されている。
Cade(1949)3)により躁状態に対する使用経験が,初めて発表されたリチウム塩は,その効果についてなお論議が多いが,再確認することにより躁状態治療,さらにこの病的状態解明についての示唆を与えうるものとして,追試を行なつた。ここではその比較的単純な無機イオンが奏効すること,その特色を十分臨床場面で認識することに重点をおいた。
躁うつ病の両状態像のうち,患者数の多いうつ状態への探求が必然的に発展し,抗うつ剤には進歩があつたが,躁状態に対する薬物効果の検索は,いまだ十分とはいえない現状である。こうした精神薬理学の10年の趨勢のなかで,町山16)が,抗うつ剤の躁転作用,躁周期での奏効を示して新たな見解を与え,注目されている。
Cade(1949)3)により躁状態に対する使用経験が,初めて発表されたリチウム塩は,その効果についてなお論議が多いが,再確認することにより躁状態治療,さらにこの病的状態解明についての示唆を与えうるものとして,追試を行なつた。ここではその比較的単純な無機イオンが奏効すること,その特色を十分臨床場面で認識することに重点をおいた。
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