文献詳細
特集 うつ病—日本精神病理・精神療法学会(第4回大会シンポジウム)
Ⅰ部 Pathogenieとの関連における性格と状況
文献概要
Ⅰ.序論
私の狙いとするところは,躁うつ病において,病者の性格・発病状況・病的状況・経過および予後を両極視点よりとらえ,類型化していくことにより,躁うつ病の人間学的類型学を完成することにある。ここでは,その研究の一部である,性格と発病状況との関連をとりあげ,論じてみたい。
さて,E. Kretschmerによつてきりひらかれた伝統をうけつぎ,さらに,その後のいわゆる反応性のうつ病,ないし誘発されたうつ病に関する諸研究の成果をとりいれて,H. Tellenbachはみごとなうつ病論を結実させた。だが,Endonの規定に始まり,メランコリー型,前抑うつ状況,そして抑うつ状況へ,と論を進めていくかれの人間学的探究は,そのたくみな構造論的展開のかげに,なお一つの弱点をひそめている。それは,平沢もいうように,「同一の人間にときにはうつ病が,またあるときには躁病が生ずる事実は,現在のままのメランコリー型の理論では十分に説明できない」,ということである。
私の狙いとするところは,躁うつ病において,病者の性格・発病状況・病的状況・経過および予後を両極視点よりとらえ,類型化していくことにより,躁うつ病の人間学的類型学を完成することにある。ここでは,その研究の一部である,性格と発病状況との関連をとりあげ,論じてみたい。
さて,E. Kretschmerによつてきりひらかれた伝統をうけつぎ,さらに,その後のいわゆる反応性のうつ病,ないし誘発されたうつ病に関する諸研究の成果をとりいれて,H. Tellenbachはみごとなうつ病論を結実させた。だが,Endonの規定に始まり,メランコリー型,前抑うつ状況,そして抑うつ状況へ,と論を進めていくかれの人間学的探究は,そのたくみな構造論的展開のかげに,なお一つの弱点をひそめている。それは,平沢もいうように,「同一の人間にときにはうつ病が,またあるときには躁病が生ずる事実は,現在のままのメランコリー型の理論では十分に説明できない」,ということである。
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