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文献詳細

雑誌文献

精神医学10巻5号

1968年05月発行

文献概要

特集 うつ病—日本精神病理・精神療法学会(第4回大会シンポジウム) Ⅱ部 Schuldgefühl(罪責感)

うつ病者の「罪の意識」について

著者: 矢崎妙子1

所属機関: 1東京医科歯科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.370 - P.375

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I.はじめに
 うつ病者の述べる「罪」に関連したさまざまな訴えについて,われわれは,ある時にはそれを「罪責妄想」と命名し,またある時にはそれを「罪責感情」と呼んでいる。この両者を厳密に区別することは,とりもなおさず,「思考」と「感情」という二つの心理的要素を,厳密に区別しなければならず,実際的には,それはきわめて困難なことである。しかし臨床的には,「思考面の障害」が優位である場合には「罪責妄想」といい,それに対して「感情面の障害」が前景にあるものに対しては「罪責感情」と命名しているように思われる。
 しかし,この問題をより深く考察してみるならば,これは,単にこのような「術語上」の問題であるばかりではなく,内因性うつ病の本質を解明する糸口を提起していることがわかる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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