文献詳細
研究と報告
Pyrithioxin(Enbol)の臨床使用経験
著者: 黒丸正四郎1 花田雅憲1 笠井勉1 山田東吾1 明石恒雄2 鷹津冬弘2 鈴木善之3 森尾種之4
所属機関: 1神戸大学医学部精神神経科 2清風神経クリニック 3湊川病院 4川崎病院
ページ範囲:P.585 - P.591
文献概要
Pyrithioxin(Bis 3-hydroxy-4-hydroxymethyl-2-methylpyridyl-(5)-methyl-disulfide dihydrochloride monohydrate)はVitamin B6の誘導体(第1図)であるが,Vitamin B6作用を呈さず,狭義の中枢神経刺激剤でもなく,むしろ,脳の血流を調整することにより,組維賦活を行なうと考えられるため,欧米で臨床的に脳血管硬化症,頭部外傷後遺症,てんかん,酒精中毒者,初老期精神病,老人性痴呆,精神分裂病,さらに脳障害児,精神薄弱児,脳性麻痺などに広く使用され,その効果が検討されている。
われわれは,中外製薬よりPyrithioxin(Enbol)の糖衣錠(1錠100mg)およびそのplaceboとして,形,大きさ,色などが外観上Pyrithioxinとまつたく変わらない糖衣錠の提供を受けたため,脳動脈硬化症,頭部外傷後遺症患者に使用し,臨床経験を得たので,その結果を報告する。
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