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文献詳細

雑誌文献

精神医学10巻8号

1968年08月発行

研究と報告

I. C. L. による分裂病家族の研究

著者: 望月晃1

所属機関: 1日本大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.618 - P.627

文献概要

 I. C. Lの項目を利用して,寛解状態に達した分裂病患者とその家族成員(父親・母親・同胞)の相互理解のくいちがい,ずれ(両者を合わせて歪みと称する),不一致の内容について検討し,つぎの結果を得た。
 (1)分裂病患者は家族成員中では相互理解の歪みはだれに対してももつとも少なかった。
 (2)母親は家族成員中,もつとも相互理解の歪みが大きく,とくに同胞に比べて患者に対して歪みが大であつた。
 (3)父親は母親ほど顕著ではなかつたが,不一致の内容の検討から母親と同様に患者に対して歪みの大きいことが認められた。
 性別の検討では,父親は女子患者との関係が重要であることが推測された。
 (4)同胞は両親,とくに父親に対して相互理解の歪みが大きく,このことは家庭からの分離・独立の傾向を示しているのではないかと考えられた。
 さらに,項目の得点から家族単位の相互理解プロフィルをつくり,家族の類型化をこころみた結果,両極端の型を得たこれらをそれぞれ離散型,同化型と名づけたが,家族面接でつぎのような特徴があつた。
 (1)離散型は家族全体にまとまりがなく,成員相互が勝手に行動している状態で,相互理解にはなはだしく欠けていた。
 (2)同化型は一見すると成員相互の理解が一致しているようにみえるが,実際は成員おのおのの個性が問題にされていないと考えられた。
 (3)父親の相互理解プロフィルの特色から,対人態度に「常同的な硬さ」があることが推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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