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文献詳細

雑誌文献

精神医学10巻9号

1968年09月発行

文献概要

研究と報告

精神分裂病の家族精神療法(その2)—家族抵抗とその治療的意義について

著者: 阪本良男12 横山桂子2

所属機関: 1大阪市立大学医学部神経精神科 2阪本病院

ページ範囲:P.705 - P.709

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I.はじめに
 われわれは精神分裂病患者に家族精神療法を行ない,すでにその経過および意義について述べたが9),今回はその家族精神療法の経過を通じてみられた二,三の重要な問題について論じたい。精神分裂病患者の治療にさいして,しばしば諸家の指摘するように,家族のほうが患者より種々の洞察を得にくいことのあることをわれわれも経験した。この事実に関する見解はいくつかあるが,われわれは精神分裂病患者の家族の側に患者の病像の好転を妨げる要因が存在するという仮説をたて,これを精神分析の「抵抗」なる概念を適用して「家族抵抗」と名づけるとともに,症例をあげその病床的意義について論じたいと思う。このことは,すなわち家族精神療法の経験から「個人精神分析が抵抗分析である」といわれるのと同じく「家族精神療法は家族の抵抗分析である」と考えたからである。
 近年精神分裂病の研究において患者の家族内相互関係が一つの重要な問題であることがとくに注目を集めるようになり,いろいろの面から研究されつつあることは周知のとおりである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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