文献詳細
文献概要
研究と報告
新しい抗てんかん薬Benzylaniline-4,4′-disulfonamide(Benzanilamide)
著者: 金子仁郎1 谷向弘1 西村健1 乾正1 播口之朗1 山田悦秀2 山本順治2 藤木明2
所属機関: 1大阪大学医学部精神神経科学教室 2浅香山病院精神科
ページ範囲:P.751 - P.758
文献購入ページに移動既存の種々の抗てんかん剤で3カ月以上治療されてもなお発作の頻発している「難治性」てんかん患者50名に,それまで投与されていた薬剤に付加して,木剤250mg/日ないし1,000mg/日(多数例では500〜750mg/日)を投与し,投与前の平均発作間隔の10倍以上の期間観察した結果,80%以上が著効,95%以上が有効と判定された。あらゆる発作型に有効であつたが,もつとも効果の期待できるのは精神運動発作であり,従来治療困難とされていた焦点性発作,ミオクローヌス発作,失立発作にも相当な効果をおさめた。副作用として重篤なものはなく,その発現頻度も低いが,臨床検査で腎機能低下を認めた症例があるので,腎障害あるいはその既往のある患者に対する使用は慎重でなければならない。血液像,血清電解質値,肝機能,尿所見などには,長期投与後もなんら異常はみられなかった。
以上より,本剤は広い臨床適応スペクトルを有する抗てんかん剤として,他剤で治療しても十分な効果の得られない「難治性」てんかんに付加剤として効果の期待できる有用な薬剤であると思われる。
掲載誌情報