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文献詳細

雑誌文献

精神医学11巻12号

1969年12月発行

文献概要

研究と報告

分裂病様症状を呈する内因性精神病に対するDimetacrine(Istonil)の効果—新しい薬効検定方法のこころみ

著者: 木村敏123

所属機関: 1京都大学医学部精神医学教室 2水口病院 3現ハイデルベルク大学精神神経科

ページ範囲:P.991 - P.996

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I.はじめに
 スイスのSiegfried社で開発され,日立化学株式会社からわれわれに提供されたDimetacrine(商品名Istonil以下Ist. と略す)は,主としてうつ病の治療にもちいられるThymoleptikaの一種であり,その臨床効果に関しては,著者自身のものをも含めて,すでに数篇の報告が公けにされている1)4)7)8)。それらの報告によれば,本剤のうつ病に対する臨床効果は,Imipraminのそれとほぼ同一の方向とスペクトルを有するものとされている。
 ところで,著者は以前からImipraminを初めとするいわゆるThymoleptikaが,狭義のうつ病以外の種々の内因性精神病,ことに妄想幻覚症状や意識障害が前景に出ているために,ふつう「精神分裂病」に含めて診断されている各種の病像に対しても,時としてきわめてすぐれた臨床効果を示しうることに注目してきた。そこで,さきに発表した本剤の臨床検定にさいしても,投与対象のなかに積極的にこの種の患者を含めてみたところ,やはり結果はきわめて良好であつた。すなわち,対象となつた全24例のうち,著効例8例中の2例,有効例9例中の6例までが,そのような「分裂病様」の症状を呈する患者だつたのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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