文献詳細
研究と報告
二重盲験法によるbutyrophenone誘導体(Methylperidol)とphenothiazine誘導体(Perphenazine)の精神分裂病に対する薬効比較—遂次検定法およびWilcoxon法による検定
著者: 伊藤斉1 岡本正夫1 三浦貞則1 壁島彬郎1 鈴木恵晴1 茂田優1 望月延泰1 八木剛平1 浅香富允1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部神経科教室
ページ範囲:P.131 - P.142
文献概要
butyrophenone系薬剤は第3のmajor tranquilizerとして,phenothiazine系薬剤ならびにreserpineについで登場し,精神分裂病を中心とする各種精神病の治療薬として臨床に応用されつつあり,わが国にも数種のこの系の薬剤が導入されている。従来のmajor tranquilizerとまつたく化学構造の異なるこの系の薬剤が,はたしてわれわれが長く使用してきたphenothiazine系薬剤などと同様臨床効果の点でpotencyの高いものであるかということを十分な客観性を保つて証明し,あるいは批判しうる資料が必要とされ,またbutyrophenone系薬剤個々についても,他剤と比較してどのような薬効特性があるかということも,今後の治療学の発展のうえからも知りたいところであろう。
しかし不幸にしてこの系の薬剤は欧州大陸諸国では早くから使用されていたが,薬剤の臨床効果についてはのDoubleblind Controlled Trialの必要性を認めて実施している英国,米国などでもちいられなかつたためか,butyrophenone系薬剤についてのcontrolled study(以下C. Sと略す)の文献はあまり多くない23)〜26)。新しい治療薬が,前臨床試験を通過して,臨床試験を実施する段階にいたり,pilot studyないしは症例検討を行なうことの必要性は論をまたないが,治療に伴う心理的影響因子が存在するような疾患の場合は,われわれの観察しえたテータはそのままに,われわれが評価しようとしている新薬の薬効を示すことにはならない。向精神薬の薬効判定についても当然これに該当する。
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