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文献詳細

雑誌文献

精神医学11巻4号

1969年04月発行

文献概要

研究と報告

向精神薬大量療法によるヒステリーの治療—いわゆる薬物精神療法についての検討

著者: 中尾武久1 松下棟治1 藤井省三1 大熊輝雄1

所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神科

ページ範囲:P.253 - P.260

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I.はじめに
 近年,向精神薬療法の発展はめざましく,各種の精神疾患の治療をいちじるしく前進させている。とくに,向精神薬を併用することにより,神経症の精神療法に要する時間と労力をかなり軽減できる場合も多くなつてきている。たとえば,Azima, H. 1)〜4)(1956〜1961),Margolin, M. はchlorpromazineと睡眠薬とを併用して一種の持続睡眠療法を行ない,これに精神分析的手法を加えて,かなり良好な結果を得ており,これを依存的療法anaclitic therapyと称した。わが国でも西園ら18)〜23)は大量のlevomepromazine(以下LPと略称)と睡眠薬を使用しながら,精神分析的手法をもちいて精神療法を行ない,これをanaclitic drug psychotherapyとよんでいる。
 また,懸田ら12)(1960)はLPを睡眠薬と併用し,躁うつ病,精神分裂病,精神病質人にもちい,その薬理学的効果を臨床的に報告し,矢部26)(1960)もglutethimide(Doriden)を主剤として,これにphenothiazine誘導体を併用した持続睡眠療法について報告している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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