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文献詳細

雑誌文献

精神医学11巻4号

1969年04月発行

文献概要

研究と報告

躁うつ病に対する炭酸リチウムの使用経験(第1報)—予防効果について

著者: 伊藤耕三1 山崎晃資1 伊藤直樹1 加藤博明1 諸治隆嗣1 山下格1

所属機関: 1北海道大学精神医学教室

ページ範囲:P.275 - P.281

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I.はじめに
 最近,種々の向精神薬の開発により躁うつ病に対する薬剤療法の効果がたかめられているが,なお周期的な増悪や再発を十分に制止しうるまでにはいたつていない。リチウムによる躁状態の治療効果はかなり以前より報告されているが,わが国における治験は少ない13)20)
 またこれまでに治験1)2)11)14)17)22)23)28)35)されたものの大部分は,リチウムのもつ治療効果に主眼がおかれていたが,最近Baastrup1)らは,多数の躁うつ病患者を対象として炭酸リチウムの長年月にわたる投与を行ない,経過を観察した結果,リチウムには単に躁状態に対する治療効果だけではなく,躁うつ両周期の発現を制止し再発を予防する作用を有していることを発表して注目をあびている。われわれもこれまでの報告にもとづき,炭酸リチウムの躁うつ病に対する治療効果だけではなく,その予防効果について追求する目的で検討をこころみた。治験は昭和42年6月より開始され,約1年間の治験成績および症状推移に興味ある結果が得られたのでここに報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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