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文献詳細

雑誌文献

精神医学11巻4号

1969年04月発行

研究と報告

Thiothixeneによる精神分裂病(急性および慢性)ならびに躁うつ病の治療経験

著者: 島薗安雄1 高見沢ミサ1 土屋健二1 小林暉佳1 長尾佳子1 融道男1

所属機関: 1東京医科歯科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.297 - P.308

文献概要

 (1)Thiothixene錠を躁うつ病8例(躁状態3例,うつ状態5例),急性精神分裂病6例,慢性精神分裂病49例(体験保持型15例,欠陥荒廃型34例)にもちい,躁状態3例中3例,うつ状態5例中4例,急性精神分裂病6例中6例,慢性精神分裂病体験保持型15例中11例,欠陥荒廃型34例中25例に「やや改善」以上の症状の改善をみた。
 (2)初回投与量は5〜30mg(平均10mg),最大用量の平均は48mg,症状改善の発現時の使用量の平均値は22mgであつた。ほとんどすべての症例で,塩酸promethazine,trihexyphenidyl,biperidenなどの抗パーキンソン製剤を併用した。
 (3)投与期間は3〜20週(平均12週)であり,症状改善の発現時期は,1週間以内18例,1〜2週間23例で,改善の認められた例の84%で2週間以内に主症状の改善がみられた。
 (4)改善された症状としては,不安と焦躁,抑うつ症状,疎通・接触障害,好褥,精神運動興奮,衝奇,自我障害,関係念慮,幻聴,食欲不振,不眠,頭痛などがあげられ,自閉,感情鈍麻,児戯的爽快,無為などの症状は改善されにくかつた。
 (5)主として錐体外路系の副作用が42.8%にあたる27例にみられ,手指振戦(16例),akathisia(9例),筋硬直(4例)が多かつた。これらの副作用は他の類似構造をもつ向精神薬に比べ,程度も持続も強いものではなく,治療を中断するほどのものではなかつた。血圧,尿所見,血液所見,血清肝機能検査について投薬前後の値を比較検討した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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